近年世界中で気候変動や地球温暖化といった環境問題に対する取り組みが盛んになっており、当ブログでも環境にやさしい素材や商品をご紹介してきました。
そのような中、各自治体による非食用米を原料として作ったバイオマスプラスチック製ごみ袋の採用が増えており、日本一の米どころ新潟市の指定ごみ袋の一部にも採用されています。
その新潟市と連携した事業を行っているのが株式会社バイオマスレジンマーケティング様です。
今回は新潟のオフィスに伺い、代表取締役社長 山田 眞様と企画営業部 ディレクターの大塚 駿輔様にお話を伺いました。

―株式会社バイオマスレジンマーケティングはどのような企業ですか?
山田様:環境配慮型のバイオマスプラスチック製品の販売・開発をベースに企業や自治体、学校など各種団体と連携・共創しながら社会課題解決に向けたプロジェクトのプロデュースを行う会社です。
―お米のプラスチック事業を取り組み始めた経緯は何ですか?
山田様:設立時はお米から環境負荷の少ないバイオマスプラスチック樹脂を作れる、という発明のような取り組みに共鳴し、普及拡大に向けたマーケティング活動全般を推進する企業として設立しました。
しかしサステナブルな社会の実現のためには1社で出来ることは限られています。
そこで様々な企業や自治体、異なる業界などとの連携・共創により環境負荷軽減のみならず農業支援や地域創生に繋がる活動が不可欠と考え、「お米をプラットフォームにしながら、色々な社会課題を解決しよう」という方針で、2024年に独立分社し現在に至っています。

―新潟市の指定ごみ袋の一部にお米のプラスチックが採用されましておりますが、どういった経緯で採用に至ったのでしょうか。
山田様:最初はお米由来のバイオマスプラスチックの紹介から始まり、ごみ袋の導入提案・モニター調査用のごみ袋作成・市民による使い勝手や強度等の調査を実施し、結果はかなりの高評価でしたので少しずつ前進していきました。
最初の提案から実際の導入までには予算面やSDGs推進のスピード感なども影響し、3年以上掛かりました。
―新潟市に提案するうえで工夫されたところはありますか。
山田様:単に石油系ごみ袋をバイオマスプラスチック製のごみ袋に変える、ということなら環境負荷は下がるかもしれませんがお米由来の材料でなくても良いと思います。今はサトウキビなど様々な生物資源を使ったバイオマスプラスチックがありますからね。
このような単なるリプレイス提案では、コスト面や実績主義が壁となり実現は難しかったと思います。
しかし、我々は日本一の米どころ新潟の企業です。
新潟の宝であり、大切な資源であるお米を活用して、環境・農業・教育・地域創生など社会課題解決に貢献できる取り組みを一緒にやりましょう、とご提案いたしました。
さらに、ごみ袋のバイオマス化に向けて実際にお米由来のごみ袋を使用してもらう社会実証を実施いたしました。
新潟市民200名の方に社会実証用のお米由来のごみ袋とアンケートを郵送し、使用後にアンケートを回収して集計と分析を行いました。
―実際に市民の方に使用感など聞けるのは貴重ですね。
山田様:バイオマス率10%と25%それぞれの評価や、ごみ袋の扱いやすさ・丈夫さ・水漏れ等、使用しての不明点・懸念点など使用に対する評価や興味を把握できるのは大きいですね。使用いただくことで市民の皆様の理解も深まったと思います。
この提案や社会実証に賛同いただき、導入へつながりました。新潟市とは連携協定を結び各種活動を展開しています。
―実際に採用が開始されて自治体の方や周囲の反応はいかがですか。
山田様:とても評判がいいですね。肌ざわり、縦裂けしにくい等の機能的な評価に加え、自分たちの身近にあるお米が、新潟市のCO2排出低減に役立つごみ袋に生まれ変わっているというストーリー性も評価されています。
―株式会社バイオマスレジンマーケティング様は新潟県地球温暖化防止活動推進センターの脱炭素に向けた新潟県民への啓発活動「にいがた緑の陣」の運営事務局を務められています。こちらは具体的にどのような取り組みなのでしょうか?
大塚様:にいがた緑の陣は、新潟県地球温暖化防止活動推進センターが実施しており、当社ではセンターを運営している公益財団法人新潟県環境保全事業団と「脱炭素社会の実現に向けた啓発活動の推進関する協定」を結んでいます。
「緑の陣」は、新潟県内市町村と連携し、新潟県内の大学生から構成するゼロチャレ30士とともに、新潟県各地域における脱炭素の普及に向けて、グリーンカーテンの普及をはじめとした地球温暖化防止に向けた県民の行動変容を目指しています。初年度は、5市町から始まり、2年目は9市町、3年目は13市町、そして今年4年目は21市町村まで拡大しました!※新潟県内は30市町村
1人ひとりが「ちきゅうをまもるヒーローになろう!」を合言葉に、県民が気軽に参加できる施策を行っています。私たちバイオマスレジンマーケティングは、事業を通じて社会課題解決を目指していきます。
本事業においても、地球温暖化という社会課題解決に向けた取り組みとなっています。

にいがた緑の陣についてはこちらから → https://midorinojin.com

―御社では学校での環境学習といった教育分野での活動にも注力されていますが、どのような意図や想いがあるのでしょうか?
大塚様:未来の社会を担っていく、創っていく若い世代に、環境に関する正しい知識や視点、体験を提供することは、これまで地球を汚してきた大人たちの責務だと考えています。
さまざまな社会課題に向き合わず、経済的な豊かさを求めていくだけでは、先の世代へ負荷を押し付けるだけになってしまいます。
そのため、若い世代の未来をより良いものにしていくために、微力ながら出前授業やワークショップ、学生のプロジェクトへの参加、セミナーなどを通じて、若い世代と交流し、意見交換などを行っています。

―現在、世間では何かとお米の話題が飛び交っていますが、これに関してどのような見解をお持ちでしょうか?また、それを踏まえてどのような対応が求められるとお考えでしょうか?
山田様:お米騒動が話題になって以降、「お米が不足していて買えない状況なのに、プラスチックの原料に使うとは何事だ!」と御叱りのようなご意見を頂くことは時々あります。
我々としては、食用米ではなく非食用米(屑米など)をアップサイクルし再資源化していて、CO2排出低減にも一役買っている取り組みであるということを説明しご理解いただくようにしています。
会社としては、そうした説明を製品販売や提案時にもっとしっかり周知しなければいけないと感じています。
一方で、米不足問題やそもそもの農業政策については、これを機に、生産者がしっかりと利益を享受できる仕組みに変えていかなければダメだと思います。でなければ、農業に従事したいという人は居なくなりますし、それは食糧自給率の問題や日本の衰退に繋がってしまいます。
生活者(消費者側)にも、一次産業の重要性をもっとしっかり認識して頂く機会が必要だと思います。
―最後に、御社が今後目指す企業の姿を教えてください!
山田様:「どんなことも、7世代先のことを考えて決めなければならない」という言葉があります。
ネイティブアメリカン「イロコイ族」の言葉です。彼らは魚1匹を獲る時も、木を一本切る時も、7世代先の子孫のためになるかどうか?困らないか?を判断基準にするそうです。我々もこういったイロコイ族の価値観やCSV、ゼブラ企業の志と同様、事業を通じて社会課題の解決、すなわち社会をより良くしていくことに貢献する企業でありたいと考えています。
自分たちさえ成長すれば良い、ではなく、何世代も先の世代が暮らしやすい社会づくりに役立つ、そんな企業になることが目標です。
日本政府が国家戦略として位置づけ、社会性と経済性を両立させながら事業成長していくことを目指す「ゼブラ企業」に認定されている株式会社バイオマスレジンマーケティングは、地域資源である「お米」を通じて、ローカル・ゼブラとしての活動をしています。
今回の取材を通じて、同社の明確なビジョンを目の当たりにし、とても魅力的な企業と感じつつ、同社のような企業が増えていくことで持続可能な社会の実現に近づいていくのではないかと感じました。
バイオマスレジンマーケティングの皆様、この度は快く取材に応じてくださり、誠にありがとうございました。
バイオマスレジンマーケティング ホームページはこちら↓
https://www.biomass-resin.com/about/biomass-marketing/
中小企業庁による地域課題解決事業推進(ゼブラ企業)の概要はこちら↓
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki_kigyou_kyousei/index.html
新潟市_お米を原料にしたバイオマスプラスチック製「指定ごみ袋」の記事はこちら↓
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/gomi/recycle/plastic_genryo/bioplaHP.html